月一でやってる連載?で今月は新鍋を取り上げたみたいです。
確かに、韓国戦終盤での新鍋のブロックアウト3連発はしびれました。
ライトでも出来るんでしょうけど、やっぱレフト新鍋が観たいっす。
中田姐さん、お願いしますっ!
http://www.kobe-np.co.jp/rentoku/sports/201104slow/17.shtml
神戸新聞 2012/09/21 (今福寛子)
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兵庫アスリートの深層 スローモーション その一瞬
日本代表(久光製薬) 新鍋理沙(22) 弱点突いた絶妙スパイク
8月11日 アールズコート 3位決定戦 日本3―0韓国
バレーボール日本女子にとって、28年ぶりの銅メダル獲得に沸いた8月のロンドン五輪3位決定戦。
日本は宿敵韓国に3―0とストレート勝ちした。勝利を引き寄せたのが最後の第3セット、
22―20から新鍋理沙(久光製薬=練習拠点・神戸市)が決めたスパイクだ。
光ったのは、相手のブロックに当てて得点した冷静さ。身長173センチと小柄なアタッカーが、
世界と戦うために磨いてきた“目”が、勝負どころで威力を発揮した。
3位決定戦は日本優位で進んでいた。
第1セットは25―22、第2セットは26―24で2セットを先取した。
しかし韓国も粘る。第3セットは3点差を追いついて19―19とするなど一進一退。
日本は迫田さおり(東レ)のスパイクなどで抜けだし、22―20とした。
そのまま3点差に突き放すか、1点差に追いすがられるか。
次のポイントは試合を決定づける1点といえた。
新鍋はレフトに入っていた。本来のポジションはライトだが、
この試合は韓国得意のレフト攻撃を抑えるため、
ブロックのいいレフト迫田が韓国のレフトと対面するライトに。
レシーブのうまい新鍋がクロスのスパイクを拾うためにレフトと、ポジションを入れ替えていた。
互いに粘り強いレシーブでラリーが続く。
エースが入ることの多いレフトは2段トスなど苦しい時にボールが集まるポジションだ。
「いつでも打てるようにしていた」と新鍋。そしてボールは新鍋の頭上に上がった。
▼ブロック攻略「手に当てる」
新鍋と対面する韓国のライトは金姫真(キム・ヒジン)。身長186センチの大型スパイカーながら、
ブロックが苦手という情報を日本代表のスタッフから得ていた。
さらに新鍋は試合前に韓国の映像を見た際、金姫真の癖を見抜いていた。
ブロックは相手のスパイクに合わせ、ジャンプしながら両腕を真上に伸ばすのが基本。
だが金姫真は両腕を体の横から出す癖があったという。
腕が遠回りするため、両手を伸ばすタイミングは遅れる。
「手に当てたら(コートの外に)出るだろうな」。
まだ形のできていないブロックはボールを相手コートにはね返しにくく、
意図せぬ方向にはじくためにブロックアウトの可能性が高まる。
既に新鍋はこの試合で何度か金姫真からブロックアウトを奪っていた。
23点目は試合を分けるポイント。新鍋は当然ブロックアウトを狙った。
照準はコート外側にある相手の右手。狙って打つには質の高いトスが必要だが、
セッター竹下佳江(JT=練習拠点・西宮市)からは長さ、高さ、速さとも絶妙なボールが届いた。
新鍋はブロックに当たらなくてもサイドアウトにならないよう、ぎりぎりのコースへストレートに打つ。
体重を乗せたボールは金姫真のブロックをはじき、
他の韓国選手の頭上を越えてエンドライン後方に落ちた。
ボールの行方を一瞬見失った新鍋だが、喜ぶチームメートの姿で得点に気がついた。
「ラリー(でポイント)を取られたら相手に勢いがついてしまうし、
(3点差になり)向こうも気持ちに余裕がなくなったと思う」。そのまま日本が押し切った。
▼速さと観察眼 高さ不足補う
リベロにも劣らぬレシーブ力を持つ一方、新鍋の課題は攻撃力だった。
世界には190センチ台の選手も珍しくない中、身長173センチは日本代表のアタッカーで一番小さい。
昨年の代表入り直後は「ブロックを気にしすぎてミスしたり、真下に止められたりした」と壁にぶつかった。
工夫が始まった。ゲーム形式の練習では男性スタッフ相手に、高いブロックをかわす技術を磨いた。
相手ブロックを1枚にするためにスピードを追求し、センターとのコンビネーションも練習。
相手の癖を見抜いた観察眼もその努力の成果だった。
韓国戦第3セット、日本の21点目、24点目も新鍋だった。
韓国戦では、スパイクは22本と多くなかったが、チーム2位タイの11得点。
ミスなどで失点した打数を差し引くスパイク効果率は45・45%でチームトップだった。
「迷惑をかけてきたけど、少しは成長できたかな」。
謙虚に喜ぶアタッカーの成長がなければメダル獲得もなかった。